次はC先輩の場合です。
C先輩は同じ部署で働く先輩で、私が転職してきた際にはメンターのような存在だった。
ほんわかとした柔らかい雰囲気を持ち、年齢も近かったため、趣味やプライベートな話もよくする仲だった。
私が同棲や結婚を報告した時、部署内で最初に話したのもC先輩だった。
その頃から先輩は「お子さん、お先にどうぞ!」「私のことは気にしないでね」と声をかけてくれた。
当時の職場では、結婚した順に出産・育休を取るのが暗黙の流れになっており、「先輩が育休から復帰するまで妊娠は待つべき?」と感じるような雰囲気もあった。
でも私はまだ結婚したばかりで、新婚生活を楽しみたかったし、「子どもはもう少し先でいい」と思っていた。
「授かりものなのに“お先にどうぞ”なんて…」と、最初は気軽な言葉だと思っていた。
しかし、ある日、先輩から衝撃の言葉を聞く。
「実は…5年間不妊治療してるの」
年齢が近いだけに、想像もしなかった。
詳しく聞いてみると、C先輩は20代後半から妊活を始めており、日常的に体を冷やさないよう工夫したり、食事にも気を遣ったりと、コツコツ努力していたという。
それでもなかなか妊娠には至らず、体外受精に挑戦しても上手くいかず、
ようやく着床したと思ったら初期流産を経験したこともあったそうだ。
そのうえ、職場でのストレスも重なり、ついに先輩は退職を決断したのだった。